そして続く明日の世界へと−・第7章

第7章 出撃

「サーベリオンが敵AKの襲撃を受けています。
支援要請です。」

「右舷砲列、斉射、5秒間隔でサーベリオン前面に弾幕を張れ!」
「右舷斉射、5秒間隔!射撃準備よろし!」
「撃てっ!」
旗艦ヒューベリオンの艦体がリコイルショックで揺れる。
「三番機に挟叉!続いて第ニ射!撃てっ!」
だが、ヒューベリオンの斉射をもってしても敵AKを仕留めるに
至らない。
それどころか、いまの斉射でターゲットがこちらに移ったのか、
三機のAKが弾幕を回避しながら飛来してくる。
「なんとしても近づけるな!」
右舷砲列の攻撃にくわえ、各部に設置されたガンランチャーが
弾幕を張るがそもそもガンランチャーごときでは怯ます事は
出来てもAKを落とす事は出来ない。

「やはり機動ユニットと戦艦では相手にならないか。
できれば、、とは思ったんだがやむをえん。
ヒューベリオンは敵艦との交戦を。AKはわたしが相手をする。」
「いつもすまないな、レディス」
「心にもない事を言われても困る。どうせこのためにわたしを
連れてきたんだろうが、ジュリア。」
首をすくめ、ブリッジをあとにするお父様。
それを追うあたし。
「サリスを出すの?お父様?」
「それしかないだろうな。まぁ、なんとかしてみせるさ」
お父様にはいつもの余裕がない。
それだけ事態は切迫しているということだろう。
お父様はあたしのひたいにキスをすると、
「準備が出来たら合図をする。そうしたら格納庫からコンテナを
投棄させろ。いいな?」
「はい、お父様。・・・ご武運を。」
お父様は格納庫に向かって駆けていった。
バトルブリッジに戻るあたし。
ほどなく、通信が入った。
「わたしだ。格納庫ハッチを開け!Aコンテナを投棄しろ!」
「レディス卿、どういうことで?」
「やればわかる!」
「お願い、お父様の言うとおりにして!」
「ハッチ開放は危険を伴うのは承知だ。あれは切り札だ。
安心していい、艦長。」と、ジュリアスさん。
ディスプレイのお父様とあたしとジュリアスさんの顔を
見比べた後、艦長は指示した。
「格納庫ハッチ開け!ハッチ展開後Aコンテナを投棄せよ」
「了解しました。」
ディスプレイに格納庫ハッチが展開されていくのが見える。
「いきますよ、レディス卿!」
直後、サリスを格納したコンテナが投棄された。
ヒューベリオンを攻撃していたAKに動揺が走る。
刹那、コンテナが爆音とともに展開し、フライトモードの
白銀のAKが現れる。
くるくると機体を回転させながら集光セイルが展開し、
次の瞬間爆圧的なフレアを起こして急加速をして、
格納庫に取り付こうとしていたリオンに迫る!

両翼になっているマストにマジックサーキットが現れ、
ビームを帯びる。
サリスとリオンがすれ違った次の瞬間、リオンは右腕と
脇腹を切り裂かれ、きりもみ状態になって墜落していった。


再びバトルブリッジ。
戦闘状況がディスプレイされている。
かなりの戦闘力を持つ旗艦ヴァーミリオン。
しかし、やはり分が悪いようだ。
そもそもレールキャノンでは機動力のあるリオンを捕捉できない。
かといってガンランチャーでは致命傷を与えられない。
一撃離脱で致命傷を与えることが可能な兵器がAKレヴァードであり、
リオンなのだから。
そしてサリスが援護をしている今も敵機を振り切って
敵艦に追いつけないままでいる。
お父様の駆る白銀のAK、サリスは4機のAKを相手に決して劣らぬ
戦いをしていたが、撃墜にまでは至らない。
AKとして最適化が済んでいるレヴァードとリオン。
サリスはエフィメラを搭載してレヴァードやリオンとは
格が違うとはいえ多勢に無勢といったところか。

「旗色が悪いな。・・・シルフィール、リオンで出れるか?
空戦をしろとは言わん。デッキ(甲板)からの援護射撃で
かまわん。操縦系統はレヴァードと同じだ。
ナビゲートは私がここからする。」
「・・・あたし・・・で良いのなら。」
「頼む。」
あたしはうなずき、格納庫に向かって駆けた。
ジュリアスさんがそれに続く。
ヴァーミリオンに衝撃が走る。
よろめくあたしをジュリアスさんが抱きとめてくれた。
急がなきゃ。
視線をあわせ、二人で格納庫へ急ぐ。
格納庫への扉を開き、ハンガーにあるリオンを見る。
隣にはルシーダちゃんのイリーガル。
格納庫で待機していた整備要員にジュリアスさんが声を掛ける。
「リオンを出すぞ!ハンガーロックを解除しろ!」
「ジュリアス卿、ですがパイロットが・・・」
「パイロットならここにいる。急げ!」
あたしをびっと指差す。
一瞬怪訝そうな顔をしたものの、整備要員は起動準備に
かかってくれた。
タラップを上り、コクピットに乗り込む時、ルシーダちゃんの
イリーガルをちらりと目をやった。
コクピットに半ば乗り込むカタチでジュリアスさんが説明をする。
「リオンはレヴァードと異なる射撃戦を想定した機体だ。
基本はレールガンとレールキャノンだ。
いまはオプションのビームカノンも装備している。
ヒューベリオンから弾倉ををつなぐから速射も出来る。
ただ、レールキャノンに比べて反動が大きい、気を付けろ。
リオンをデッキに出した後は格納庫を背にしてデッキで闘え。
空戦をせざるを得なくなった場合は弾倉をリリースする
必要がある。いいな?それ以降はビームカノンは使えない、
注意しろ。」
「はいっ」
リニアシートを起動させ、メインモニターを展開させる。
「無理はするな、現在展開している敵勢が全てなら
レディスがなんとかしてくれる。」
そういうとジュリアスさんはコクピットから離れた。
ALICETEA System standbyの文字がHUDに表示される。
「マイクオン、外につないで。
リオン、起動させます。みんな機体から離れてください」
弾倉付きのビームカノンを手に取る。
ジャラッと連なったカートリッジが弾薬ケースから引き出される。
「格納庫ハッチ開けて!シルフィール、いきます!」
ハッチがゆっくりと開く。
たんっと軽く跳躍し、デッキに出る。
視界がクリアになる。
片膝を付き、射撃姿勢を安定させる。
「ターゲット!ロック! ビームカノン用意、当たれぇ!!!」
銃身にマジックサーキットで包み込まれる。
次の瞬間、目もくらむような光弾が無数に真っ正面にいた
リオンに向かって飛んでゆく。
使用済みのカートリッジがものすごい勢いではき出される。
正面のリオンは初撃こそシールドで防いだものの、その圧倒的な
ビームカノンの光弾によって四肢を、集光セイルを吹き飛ばされ、
戦線を離脱した。
「ひとつっ!」
だが、その攻撃が仇になった。
危険と判断されたのだろう、残りの3機がこちらに迫る。
必死にビームカノンで弾幕を張るあたし。
1発でも当たりさえすれば致命傷だが、反動が大きすぎて
当たらない。
「シルフィール!後ろだ!」
声より先に身体が動いた。
ビームカノンの速射をやめ、スラスターをふかしてその場から
離れる。刹那、いまいたその場所にレールキャノンの
クラスター弾頭が炸裂した。
そのとき、弾倉から引き出されたカートリッジが誘爆した。
吹き飛ばされるリオン。
「アリス、アイゼンっ!」
甲板から落ちるぎりぎりのところで足首に取り付けられた
アイゼンが甲板の着艦用ワイヤーを掴み、反動でくるっと
旋回する。
そのまま片膝を付き、ちぎれ残ったカートリッジで
ビームカノンを速射する。
1機のシールドを吹き飛ばしたが、それだけだった。
もうビームカノンは使えない。
ビームカノンは投げ捨て、背部のマウントラッチから武器を
レールガンに持ち替える。
これで圧倒的な火力差はなくなってしまった。
「でも、やるしかないっ!」
集光セイルを展開し、リニアクラフトを起動させる準備をする。
「アリス、リニアクラフトスタンバイっ!」
「了解マスター。」
そこにジュリアスさんからの指示が飛ぶ。
「空戦は可能な限り避けろ!もし空戦に持ち込まれたら
ヴァーミリオンを背にして戦え!」
つまりは囲まれないようにしろ、ということか。
敵のリオンがレールガンを乱射してくる。
バックステップでかわしつつ、ベイル(盾)で銃弾をはじく。
こちらも応射するが微妙に照準が合わない。
ベイルからレールキャノンを引き出す。
また片膝を付き、姿勢を安定させてから、撃つ!
反動で機体が揺れる。
一撃必殺のレールキャノンはまとわりつくリオンのうち
1機の集光セイルを吹き飛ばした。
「外した!?直撃だと思ったのに!」

「シルフィール、レヴァードとリオン相手では
レールキャノンは不利だ。その機体のレールキャノンは
対AK用ではない。レールガンで応戦しろっ」

「そういうこうとは早く言ってくれなきゃ!」
レールキャノンを格納し、再び武器をレールガンに持ち替える。
刹那、レヴァードがレイブレードをかまえて眼前に現れた!
リニアクラフトとスラスターをふかして一気に間合いを取る。
だが、相手もそれについてくる!
格納庫の中に逃げ込むわけにも行かない。
あたしはレールガンを乱射しつつデッキの端までまわりこみ、
そしてデッキから飛び降りた。
艦体の中程まで落ちたところでリニアクラフトを作動させ、
機体を安定させる。
これで後ろに回り込まれることはない。
だが、次の瞬間大上段にレイブレードを振りかぶったレヴァードが
現れた。

かわせない!?

思わず目をつむる。
だが、想像していたような衝撃はいつまでたってもやってこなかった。
恐る恐る目をあける。
そこには同じくレイブレードを構えて鍔迫り合いをしている
魔を断つ刃、白銀のAKサリスがいた。

「お父様!」
「こいつの相手はわたしに任せろ!白兵戦用のレヴァード相手に
リオンでは不利だ!フィールは残りのリオンを頼む!」
そう言うとお父様はレヴァードに蹴りを食らわせ、姿勢を崩させ、あたしが抜け出す
チャンスを作ってくれた。

「やってみるっ!」
集光セイルを展開し、取り巻きのリオンにレールガンを撃つ。
反撃をすんでの所でかわす!
性能は同じ、レールガン程度じゃ致命傷は与えられない。
かといってレールキャノンはまず当たらない。
そして敵は残り2機、手負いが1機。
不利なのは先刻承知。やるしかない!
まずは数を減らさないと。
先ほどのレールキャノンの被弾で集光セイルをやられ、
動きが緩慢なリオンにターゲットを絞り、展開したセイルから
爆発的なフレアを放ち、一気に距離を詰める!
アリスがレールガンをターゲットロックしたことを告げる。
狙うのは機体ではなく残りの集光セイル!
そして、撃つっ!

ばらまかれる弾丸、そして砕け散る集光セイル。

手負いの1機は推力を失うとレールガンをうちながら
降下していった。その弾丸をベイルではじく。
「ふたつ!」
次っ!
刹那、ジュリアスさんからの指示が飛ぶ
「シルフィール、避けろ!」
アリスが警告を示す。
全推力を前方に向け、急速後退させる
いままでいた場所にリオンのスタンベイルが通り抜ける。
「警告。」
!?
真横からのスタンベイル!一番初めに脱落したと思い込んでいた
リオンからの連携攻撃だった。
直撃を受けるあたしのリオン。
強烈なスタン、電撃と衝撃が機体に走る。
ベイルで攻撃をなぎ払うが、機体の動きが鈍い。
電撃で電気系統にエラーがいくつも現れる。
あたしは現在位置を確認し、リニアクラフトをカットし、
そのまま真下、ヴァーミリオンのデッキに降下させ、
降着と同時にスラスターをふかして衝撃を相殺させた。



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そして続く明日の世界へと−(2008/01/20)
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